安倍総理の辞任表明について
安倍総理が辞意を表明されました。7年8ヶ月の長きにわたり政権の激務を担われてきたことについて、まず心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。
それにしても安倍政権は改革マインドの強い政権でした。経済最優先を掲げ、アベノミクスの三本の矢を打ち出す中で異次元と言われる金融緩和を進め、デフレマインドを払拭、株価を倍以上の2万4000円台まで引き上げ、また学生の内定率を過去最高水準(大卒に関しては2020年4月時点で98%)にまで引き上げることに成功しました。また、特定秘密保護法、平和安全法制やテロ等準備罪などに代表される、長期にわたり懸案とされてきた日本の安全保障環境を大きく改善する法律を次々と成立させただけでなく、電力やガスの自由化、農協改革、働き方改革など、様々な規制の改革にも取り組まれ、着実に結果を出し続けてきました。さらに外交面に関しても、トランプ、プーチンや習近平など各国の個性的なリーダーと対等に渡り合い、自由貿易こそが日本繁栄の要との認識のもと、アメリカ抜きでもTPPを成立させたり、日EU EPAや日米貿易協定を締結させて参りました。
一内閣一仕事という言葉がありますが、安倍政権においては一体いくつの仕事をしてきたのだろうかと、振り返ってみるにつけ、改めて驚嘆の言葉しかありません。
一般的に自民党は保守で野党はリベラル(改革)などと言われますが、2012年、安倍総理が誕生したときに初当選して以来、僕が見てきた国会はいつも自民党が改革を訴え、野党がそれに反対する姿。いつの間にか保守とリベラルの意味が逆転するくらいの改革を、安倍政権は次から次へと実現して参りました。
日本の将来のためには改革を進めなければならないとの強い想いをもって第三極(みんなの党)の一員として政界に飛び込んだ私にとっては、この安倍政権の強烈な改革マインドは常に眩しく、大変魅力的に見えたことは事実です。
その中で、たとえ野党であろうが必要な改革を進めていくことこそが党是であったはずが、自民党への擦り寄りはみっともない、保身だなどといった見当違いな批判が内部から湧き上がり、政策ごとの是々非々か、それとも野党共闘かを巡って政党の深刻な路線対立が生じることになりました。しかし、私は、民主党と一緒になって改革に反対することばかりが日本にとって、また自分の人生にとっても本当に良いこととは到底思えませんでした。その結果、特定秘密保護法案への賛否を巡って党が分裂し、消滅に至ったことはご案内の通りです。
その後紆余曲折ありましたが、自民党に入党させて頂き、今また衆議院議員として議席を頂くことができていますが、自民党の議員として活動する中で実感するのは、安倍政権の下、議員それぞれが大変強い改革マインドを持って様々な課題に取り組んでいる事実。野党の時は見えませんでしたが、日本を良くしたいという強い意識をもって自らの身を削る人が自民党の中にこんなにいるのか、と驚く日々を過ごしています。
この、自民党の中に行き渡った強烈な改革マインドこそが、もしかしたら安倍政権の最大のレガシーなのではないかと率直に感じています。
そして、これからの短期的な課題は、いわゆる「ポスト安倍」についてです。
様々な意見が出てくるものと思いますが、個人的にはこの安倍政権の最大のレガシーである強烈な改革マインドをしっかりと継承される方にこそ安倍政権の後を引き継いで頂きたいと率直に思っています。この国には大変多くの課題が山積している現状の下、改革の手を緩めるようなことがあってはなりません。これからも改革を続けていくことこそが、安倍総理のレガシーを継承し、安倍総理の長期に亘る功績に敬意と感謝を示すことに他ならないものと考えています。
改めて繰り返しになりますが、安倍総理には心からの感謝を申し上げたいと思います。まずは激務から解放された後に治療に専念され、早期に体調を回復されることを祈念しています。その上で可能であれば、ぜひ様々な改革に向けて一層のご指導を賜れることを期待しています。
本当にありがとうございました。また、これからもよろしくお願いします。
※ トップの写真は、2018年の総裁選において総理の「カバン持ち」をさせて頂いた際に撮った一枚。この暖かい眼差しが大好きでした。
以下noteより転載
https://note.com/mitani_h/n/nc9c80d9468bd
衆議院議員 みたに英弘